テレビを捨てて本を読もう

ただの本の感想、紹介、アウトプット用のブログです

アマプラでふしぎの海のナディアが配信されていたので今更ながらプレイバック中

皆さんふしぎの海のナディアはご存知でありますでしょうか?

私が小学校低学年くらいの頃NHKの再放送でやっていたのを時々見ていたのだが、マリーの島で住民が惨殺されていたシーンとかネオアトランティスの仮面が怖くてまともに見れなかったのを覚えている。
しかし無人島でのナディアのラッキースケベのシーンとか、未知の深海をハイテク潜水艦で冒険したり、飛び飛びでしか見ていなかったものの幼心に残る印象深い場面や心躍るシーンも多かった。

 
何しろエヴァ庵野氏の監督作品ということでいつかちゃんと見たいと思っていたが、初めて見てから約20年の時を経てようやく見ることができた。
最近アニメなどろくに見ていないのもあって、こういう平成初期のアニメを見ると今でも色褪せない魅力というか、郷愁というか、逆に新鮮にも感じる。今のアニメのようにぬるぬる動いたりはしなくとも、やはり面白いものは面白い。

何せ全39回なんてアニメは最近じゃ中々お目にかかれないので、尺があるというのは見る方もそれだけ伸び伸びした気持ちで見れる。
しかしOPの歌詞がいきなり「弱気な人は嫌い」なんて今のご時世じゃあまり使わないようなパワーワードなところにやはり時代を感じる。

序盤を見ていても宮崎駿の某映画とやけに似ていると思ったが、元々は同じ原案から出来上がったものだそうな。
とりあえず17回まで見たので今回はここまで。

 

じゃあまずキャラについて。


ナディア・・かわいい。褐色ヒロインはアニメ史の中でも珍しい。キャラとしては典型的な女性性。あんだけ体を張って助けてくれてるジャンに対してあまりにぞんざいな気もするが、そこはアニメなので悪しからず。菜食主義者らしいが、今となっては結構センシティブな問題なのに作中キャラ達の反応があまりに雑である。色んなところに時代の流れというものを感じる。

 

ジャン・・機械オタクでメガネのくせに、いきなりナディアにためらいもなくナンパしたり、勢いあまって飛行機コンテストすっぽかしそのまま逃避行とかまだ14か15かそこらで人間力が高すぎる。少々頼りなくて抜けたキャラとして描かれているが、この歳で飛行機作っておまけに度胸もあるし頭も悪くない、結構非の打ちどころがないんじゃないかと思う。

 

マリー、キング・・安定のマスコットキャラ。今後も和ませキャラで行くのか、何か重要な役割果たすのか。

 

ランディス一家・・愛すべき三馬鹿。ヤッターマンドロンボー一味などのオマージュなんだろうけど、こういうキャラクターはアニメの中の救いである。普段は憎めない小悪党キャラが締めるところは締めるのがたまらない。

 

ネモ船長・・エヴァでいうゲンドウ枠。多分ナディアの父か何かなんだろう。本作でも男性性、父性の象徴のような存在。有能なふりしてガーゴイルの罠にハマりすぎ。ガーゴイルには妻を殺された因縁的なものがあるに違いない。最後はガーゴイルと刺し違えて死にそう。

エレクトラ・・エヴァでいうとミサトとリツコを足しで2で割った感。まだ20前半で副長だから相当有能なんだろうけどどういう仕事してるのかはよく分からん。


索敵の人とかエヴァのオペレーターぽい人とか乗組員も割と濃いキャラいるけど、ざっとこんなところか。

 

ナディアはエヴァとは違って王道のボーイミーツガールな冒険活劇だと思っていたんだけど、見ているとやっぱりヱヴァ感を隠し切れないハードな部分も露骨に出てくる。特に15話、16話は作品の転換点ともいうべき回だったと思う。これを見てとにかく感想を書きたくなった。

序盤にマリーの島でもネオアトランティスが島民を殺戮していたりちょっとハードなシーンもあったけど、ここまではあくまで子供の冒険の一端に過ぎなかった。しかしフェイトさんの死は、ジャンやナディアにとって大人になるための通過儀礼とはいえ、視聴者の子供たちにとっては結構ショッキングなシーンだったと思う。自分が子供の頃この回を見ていたらかなりのトラウマになったんじゃないかと思う。目には見えなくて音声だけってのがまた想像を掻き立てて嫌ですね。

ヱヴァにしろ、子供であること、大人になること、というのは庵野氏がよく表現してきたことだが、その片鱗がこの頃から発揮されている。とはいえ私はヱヴァはまだ一回しか見てないニワカなんですけど。

しかしヱヴァでもゲンドウがトウジを握りつぶさせたことにしろ、時に父性の持つ非情さや厳しさに直面するというのは、成長する過程で起こり得ることでなければならない。

また、アニメという非現実の中に生活臭のようなリアリティを醸し出すのは宮崎駿とはまた違った方向性で庵野氏は優れていると思うし、アニメ界においての走りなんじゃないかと思っているが、ナディアはあくまでアニメらしいアニメ、だと思って見ていたので、しばしば生活臭のある場面を感じるのもまた意外であった。

そして16話もまた異色。アダムみたいなのがいるセントラルドグマのような海底世界に降りる。ヱヴァを見た後にこれを見ると「ああ、あれね」となるだろう。
とにかくここでジャンはフェイトの死を目の当たりにしてさらに父の死を知り、古代の都市をなんか普通に歩き回っているという何とも不思議さを感じる回なのだが、やはり海底であれなんであれ、自分を知り、新しい段階に行くには人間は潜らないといけないのである。なのでどんな形であれ深いところに潜る漫画やアニメというのは名作であることが多いと思う。

法律的に成人に達すれば一応社会的には大人であるが、じゃあ大人とはなんぞや、というと漠然として難しいところである。ただこういう創作において異世界に行くというのは一つの大人になる上でのステップだと思う。

そしてジャンは地上(海上)に戻ってきて、そして空を飛ぶ。空を飛ぶというのも創作においては重要な象徴だが、今まで見えなかったことができる、見える、ということを表現するのにこれ以上のことはない。今でいうと安直すぎるのかもしれないが、それでも少年たちが空を飛ぶシーンが私は好きだ。

毎日一本ずつくらいのペースで見てるので、あと半分以上残っているからまだまだかかりそうだが、またキリのいいところで感想を書きたいと思う。
そういえば動画配信サービスはどこも同じようなラインナップかと思ったけど、ナディアはHuluには無いみたいなので、アマプラも結構品揃え良いみたいですね。